ガラス熱割れ計算の疑問点

私は現在、施工管理(所謂現場監督)の立場で仕事をしているが、ガラスカーテンウォール(以下GCW)の検討を設計者と行う中で、ガラス熱割れ検討を行う機会があり、どう計算するのか分からず一度手詰まりになってしまった点について今回は自分なりにまとめてみた。

ガラス熱割れ計算-つまづきポイント

ガラス熱割れの検討方針としては計算式から導かれる、発生応力と許容応力に対し、発生応力<許容応力である事を確認流れとなる。
(具体的な計算式については、調べればすぐ出てくるので、今回は省かせていただく。)

計算をするにあたり、単板・合わせガラス・複層ガラス・スパンドレル部によってさまざまな係数を使用し、基本的にはそれぞれのパターンに応じ明確に数値が規定されており、ビジョン部についての検討は問題ない行うことが出来た。しかし、スパンドレル部の検討で、次の係数でいきなり躓くことになった。

日射吸収率(日射反射率):日射反射率=1-日射吸収率により求められる

日射吸収率は、スパンドレル部の色・素材で決定する係数であるが、その係数に幅がある。
下記に、日本板硝子株式会社HPに提示されている係数の表を示す。

引用元:https://glass-wonderland.jp/architectural/simulation/about_break/

色・素材の2要素により係数が決まっているが、例えば同じ暗色の色でも0.65~0.80と幅があり、今回検討時では、0.80を採用すればNG、0.65ならOKの判定となり手が止まってしまった。

日射吸収率(日射反射率)どう考えればいいのか?

まず、結論から述べると日射吸収率の考え方については、設計者・施主次第ということになる。

今回、検討するうえでガラスメーカーの知人にも確認してみたが、特に規定はないと言われた。
(実施設計において実際は規定があるようであれば、教えて頂きたい)
例えば、スパンドレル部に暗色のバックボードを使用する場合は、0.65~0.80の間で0.75を採用するもしくは、安全側の0.80として計算書を提出することが多いとのことだが、最終の判断は設計者・施主の判断が優先されるとのことであった。

さらに判断を難しくするのが、バックボード色の色味がどこから暗色になるのか明色になるのかが明確に規定されていない点である。明確に黒、白と判断出来る色味であればよいが、日塗工の色番でN70等は果たして明色なのか、暗色なのかどう判断すればいいのかまったく分からない。
(ただし、これについては色番コードが多数存在する事も明確な規定が出来ない要因の一つだろう)

コストを度外視すれば、安全側の数値の採用とするのが、設計上のリスクは抑えられるが、過剰設計となることもあるだろう。そのためまずは中央値を採用し設計を行い、現場の状況に応じて判断するのが正解と個人的には考える。
ただ、物件によってはここまで考える必要がない(労力をかける必要性がない)ものも多いだろう。

結論

今回結論としては、ガラス熱割れ検討における、日射吸収率係数は各物件の状況による!となりましたが、実務で設計をやっていて実は日射吸収率係数について明確な設計方針ありましたらコメント欄等で教えて頂ければ幸いです。

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